場所:長崎大学医歯薬学総合教育研究棟1D(オンラインとのハイブリッド形式)
日時:令和8年2月7日(土)
テーマ:臨床知を磨く症例報告―臨床への還元を目指して―

令和8年2月7日に令和7年度長崎大学理学療法学同門会卒後セミナーが開催されました.今回は長崎大学医歯薬学総合教育研究棟1Dでの対面とオンライン配信のハイブリット開催となりました.

特別講演では,畿央大学の石垣智也先生から今回のテーマである「臨床知をみがく症例報告-臨床への還元を目指して-」について詳しくご講演いただきました.症例報告は臨床と研究の橋渡し的な役割を担い,理学療法の発展には欠かせないものであり,目の前の症例に対し最善を提供する上で重要なものと説明されました.その症例報告を行う上での方法論について,石垣先生が携わってこられた症例報告の数々をお示しいただきながら,事例と症例の違い,倫理的配慮について,症例から反省を学ぶことのできる利点,報告自体が目的にならないためには,分割点について,タイムラインの記載,はじめにと考察の書き方など詳しくお伝えくださいました.

話題提供1では長崎大学病院の藤原優大先生が重症運動器疾患の症例を提示しながら,急性期においても早期離床や活動時間を増やす取り組みが重要であることを説明してくださいました.先行研究で早期離床や活動時間の増加は重要であることは報告されていますが,高齢で認知症を併存している場合はあまり先行研究がないためこのような症例報告が重要であり,その中でチームとしてどのように離床時間を確保していくかといった工夫についてお話されていました。

話題提供2では長崎記念病院の中川晃一先生が高齢心不全の症例をご提示いただき, 活動量・筋力・運動耐用能などの低下があり,さらにめまいや吐き気を伴い,ネガティブな発言が多い症例に対して工夫しながらリハビリテーションをすすめていったことなどをお話下さいました.心不全患者の先行研究はありますが,高齢で吐き気やめまいを伴った症例についてはこのような症例報告でしか得られない情報もあり,症例報告としてまとめることも重要であることを認識できました.

シンポジウムでは3人の先生方への参加者から多くの質問があり活発なディスカッションが行われました.症例との同意形成の際の工夫や評価を行うことの重要性,何よりも患者さんの生活によりそうことを意識して臨床を行うことなど,症例報告についての細かい点から普段から意識しておくべきことなど多くを学べるシンポジウムとなりました.ご講演いただきました石垣先生,藤原先生,中川先生ありがとうございました.(文責:田中陽理)