場所:長崎大学保健学科101講義室(オンラインとのハイブリッド形式)
日時:令和5年3月18日(土)
テーマ:脳卒中リハビリテーションの効果を高めるための臨床的視点を学ぶ

 令和5年3月18日に令和4年度の卒後セミナーが開催されました。今回は長崎大学保健学科101講義室での対面とオンライン配信のハイブリット開催となりました。
 特別講演1では西大和リハビリテーション病院の生野公貴先生に「脳卒中リハビリテーションの臨床実践-適切な評価と病態解釈に基づいた治療戦略」というテーマでご講演いただきました。脳卒中における運動障害の病態の説明に始まり、急性期での予防的介入の重要性、電気刺激と課題志向型アプローチを併用した介入、下肢・上肢へのアプローチについて、歩行における立脚期側方動揺や前方推進力についてのアプローチなど、西大和リハビリテーション病院の予後予測のフローチャートや実際の介入の様子などを踏まえご説明くださいました。

 特別講演2では保健学科10期の西祐樹先生に「脳卒中症例における機能障害の『見える化』とその臨床応用」についてご講演いただきました。歩行についてでは視覚的動作分析に対しOpen Poseというフリーソフトを利用した歩行動画解析の方法や日常生活の歩行では歩行の自由度が反映されること、上肢の見える化では活動量計を利用したベクトルマグニチュードを指標とした上肢活動の分析によって症例毎の上肢活動の特徴を捉えることでできること、感覚の見える化ではしびれ感に対してしびれ同調TENSという物理療法を利用した介入によってしびれの改善だけではなくパフォーマンスまで改善されることなどご説明くださいました。

全体討議では、生野先生から今後アルゴリズムを作るためには背景の病態のエビデンスが不足しており、そのためにも統一された評価を定期的に行った上で研究や議論を重ねる必要があることが述べられ、必要な評価が多くなってしまわないようにスクリーニングした上で必要な評価を必要最低限行い、病態を特定していくことも重要であることを提案されていました。西先生からはパーキンソン病の服薬の影響を例にあげ、患者さん一人ひとりの日常生活にあわせた柔軟な介入が重要であることが述べられました。最後に個々の脳卒中の病態を評価によってどのように解釈しアプローチをしていくが重要であるというメッセージでセミナーが締めくくられました。参加された方にとって明日の臨床につながるセミナーとなりました。ご講演いただいた生野先生、西先生、ありがとうございました。(文責 田中陽理)