場所:長崎大学医歯薬学総合教育研究棟2A(オンラインとのハイブリッド形式)
日時:令和7年3月1日(土) 
令和6年度長崎大学理学療法学同門会 鶴崎俊哉先生退職記念講演

令和7年3月1日に令和6年度長崎大学理学療法学同門会 鶴崎俊哉先生退職記念講演が開催されました.今回は長崎大学医歯薬学総合教育研究棟2Aでの対面とオンライン配信のハイブリット開催となりました.

話題提供1では,社会福祉法人致遠会サンハイツの松村海先生からご自身の研究や鶴崎先生との思い出を交えた内容をお話いただきました.
「鶴崎研究室における運動学的研究 表面筋電図とモーションセンサーを使用した動作分析に関して」というタイトルで,運動学的研究の紹介として表面筋電図を用いた関節モーメントの推定方法の検討について,表面筋電図とモーションセンサーがコスト面・持ち運び・測定範囲・定量化のしやすさ・患者さんへの負担が少なさなどのメリットを説明していただきました.また,発達障害の子どもでは協調運動ができないことが多く,診断のついた子は氷山の一角であるため,我々セラピストは運動の不器用さや,ぎこちなさに着目しながら様々な角度からみていく必要があることなどをお話いただきました.その後の鶴崎先生から松村先生のことを「まじめなのがわかるでしょ.」と笑顔で評し,「今は手軽に分析機器を使えるようになってよかった.これからの発展に期待したい」とコメントがあり,お二人の関係性と研究への情熱が伺えました.

話題提供2では医療法人光善会長崎百合野病院の永瀬慎介先生から鶴崎先生と実践されてきた外来小児リハでの地域医療を交えた内容をお話いただきました.小児医師がいない病院において整形医師と連携しながら治療方針で地域とのつながり(保育園・小中学校など)を作り,場合によっては就労支援もサポートしてきたことを話され,時には商業施設で子育て相談を行うなどこれまでの活動についてご説明いただきました.また,これからも地域のフォローアップが重要であり,長期的にフォローできる施設・病院がもっと必要であることもご提言されていました.
鶴崎先生からは,「医療から離れていた人を拾い上げる意味でも地域病院での小児医療が大事である」というコメントをいただき,地域での小児医療や障害児・者のサポートに対する強い想いが伝わる内容となりました.

鶴崎先生の講演では,PTになるまでのご自身の歴史からお話いただきました.勉強嫌いだったことや高校の担任への反抗から長崎大学の工学部に入学したこと,学生時代のボランティアで施設の子どもたちと遊んでいた経験から,PTを知り進路変更を決め,ご家族の急逝,中途退学,九州リハ大学校への入学,長崎記念病院時代の苦労などをお話いただきました.はじめは小児をみるのが少し怖く,最初は高齢者の医療に携わり,サイトメガロウイルス児の訪問セッションをきっかけに,専門分野の先生に聞きに行くなかで,穐山先生に誘われ短期大学に就職され,小児理学療法をスタートしたこと,4年制や大学院に向けての準備の話など先生ご自身と保健学科の歴史が伺えました.最後に先生からのご提言として,小児の患者さんだけではなくすべての患者さんの意思・判断を促すためのサポートを試行錯誤しながらできているか?パターン化したアプローチばかり行っていないか?を私たちに問われ,私たち同門会員が患者さんやリハに対し,工夫をし続けることが重要というメッセージをいただきました.ご講演いただきました松村先生,永瀬先生,鶴崎先生ありがとうございました.(文責:田中陽理)